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ジムに行くのは昔から好きじゃなかった。でもジムからの帰り道は、ロボットのような日々の中で唯一残された心地よい記憶だった。筋肉に残る穏やかな振動が、何もかもを少しだけ耐えやすくしてくれた。アクセルを踏み込み、エンジンの轟音が音楽を掻き消しながら闇へと突き進む瞬間だけが、唯一の自由を感じられる時間だった。失い続けている愛を探すために、何か行動していると自分に言い聞かせられる、たったひとつの時間。

自動監視されたULEVゾーンに入ると、車を減速させた。いつもの場所に停めると、ポッドまでは800m。道を挟んだ向かいには、毎日変わらず点滅し続けるエロティックなネオンサインがあった。
2034年、男女関係の極端な分断が進んだ結果、かつては不適切とされた商業広告が街中に溢れていた。子供がほとんどいなくなった今、それも当然のことなのかもしれない。
あなたはいつも、ああした偽りの愛に身を委ねる連中よりはましだと思っていた。けれど今夜は、通りは人影もなかった。巨大なダンスホログラムはあなたに気づいたかのように、特別にあなただけに向けてパフォーマンスを始めた。
この止まった世界で誰かに気づいてもらえることに、奇妙な温かさがあった。街路の真ん中に立ち、彼女を見上げたとき、あなたは初めて、多くの人が狂気へと夢遊病のように歩んでいく理由を理解した。

「寂しそうね。私が直してあげる」